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謎の小説家・未来狂冗談(ミラクルジョウダン)が、思い付くままに物語を綴(つづ)ります。
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思い付くまま忍者物語・第三章(四)(平安末期から鎌倉・室町期)

鎌倉の頼朝館に、弟の範頼が参上した。
「兄上、吉野で捕らえた義経の愛妾・静が送られて来ました。」
「おぉ、静は美形の白拍子と聞く、この坂東の荒くれ共の目の保養でもさせるか。」
「目の保養と申しますと?」
「知れた事、静に鎌倉の舞台で白拍子舞を舞わせるのじゃ。」
「それは、如何に義経の妾とは言え、ちと酷うござるが・・・」
「黙れ範頼、静は兄に逆らった弟の妾、以後この頼朝に逆らえばどうなるか、者供に見せねば成らぬ。」
言い出したら、聞かない性格の頼朝が言い出した事である。これ以上逆らえば、範頼自身も咎めを受ける。
静には酷だが、舞を舞わせる他に頼朝が収まりそうも無かった。
「ハハァ、判り申した。早速、そのように手配り致します。」
「手加減は成らぬぞ、舞の衣装は都の薄絹にせい。支度は祐経(すけつね・工藤)にさせるが良かろう。あの者、音曲にも長けておる。」
流人生活の永かった頼朝には鬱屈した性格が染み付いていて、逆らう者やその縁(えにし)に繋がる者には残酷に成れるのだ。
義弟・義経の愛妾・静御前は、頼朝、政子、範頼、北条時政を始め、坂東武者とその妻女達の前で、白拍子舞の披露を命じられた。
この白拍子舞、テレビや映画で表現される優雅な舞ではない。
今様神楽と呼ばれる白拍子の神楽舞の原点は、須佐之男の乱暴狼藉で「天の岩屋戸」に隠れてしまう天照大神が、天宇受売命(あめのうずめのみこと)のストリップダンスの賑わいにつられて「何事か?」と覗き見の隙間を開けさせた伝承に拠るもので、里神楽同様に伝承に即したストーリー性を持っていた。<br>
従って今様神楽にはそうしたエロチックな部分が根幹を成していて、遊び女の白拍子舞はお座敷芸として殿方の人気を博していたのである。
つまり白拍子舞の基本は巫女神楽であり、巫女の身体は、本来天岩戸(あまのいわと)伝説の神楽の「天宇受売(あめのうずめ)の命(みこと)」の胸も女陰も露わなストリップダンスの様式を踏襲(とうしゅう)した「依(うつ)りしろ舞」である。
後に囚われの静御前が鎌倉の大舞台で、当節の「当世風白拍子の舞いを舞った」と言う事は、実は殿方相手に座敷で密かに舞うべき淫媚な遊び舞を、裸身が透ける薄絹衣装で公に舞うと言う「晒し者の屈辱を受けた」事になる。
これは、長い流人生活で鬱積した残忍な性格を持つ鎌倉殿(源頼朝)の仕置きである。
そもそも鎌倉中の御家人とその女房共を集めての八幡宮・白拍子舞の宴で、鎌倉殿(源頼朝)が「わしに逆らうとこうなるぞ」と、自らの力を御家人達に誇示するのが目的のあるから、半裸で舞を舞わせ晒し者にする義経の愛妾・静御前に憐憫の情や思い遣りなどある訳が無い。
目的が辱めであるから、静御前の鎌倉での舞は、最近の映像で再現される様な優雅な舞ではない。
記述した様に、有物扱いの私奴婢(しぬひ)の出身で、身分が低い白拍子が、身分の高い者が着用する袴の着用は赦されない。
身分の低い者の袴を着さない男装をして「男舞」を踊る所に、その真髄がある。
この狙いが、当時貴族社会「で白拍子」が流行った、真実の所以(ゆえん)である。
これ以上は露骨な表現を控えるが、膝を上げたり広げたり腰をかがめて中腰に成ったりする「男舞」を舞い踊るとなれば、その情景はおのずと想像が着く。
その辺りをうやむやにするから、義経の愛妾・静御前が御家人衆やその女房達の前でたかが舞を強制させられた位で、「大げさなエピソードを」となる。
最もこの名場面、裸身を伴うから史実通りにはドラマで再現し難い事情がある。
それで、静御前の屈辱的心理が表現し難いものになってしまった。
静御前は、その屈辱的な舞を披露させられた挙句の果てには身ごもっていた義経の子を、男児と言う理由で出産と同時に鎌倉海岸の浜で殺されている。
話が少し脱線するが、この「静御前」の八幡宮舞の折、鼓(つづみ)を担当したのが、「楽曲に巧みな工藤祐経(くどうすけつね)だった」と言うエピソードがある。
頼朝主催の「富士の牧狩り」のおりに曽我兄弟に親の仇を討たれた、あの工藤祐経であった。
後ほど事の顛末(てんまつ)を示すが、この工藤祐経(くどうすけつね)暗殺事件は、源頼朝の弟・源範頼(みなもとのりより)の運命にまで波紋が広がる大事件だった。させられた挙句の果てには身ごもっていた義経の子を、男児と言う理由で出産と同時に鎌倉海岸の浜で殺されている。
話が少し脱線するが、この「静御前」の八幡宮舞の折、鼓(つづみ)を担当したのが、「楽曲に巧みな工藤祐経(くどうすけつね)だった」と言うエピソードがある。
頼朝主催の「富士の牧狩り」のおりに曽我兄弟に親の仇を討たれた、あの工藤祐経であった。
後ほど事の顛末(てんまつ)を示すが、この工藤祐経(くどうすけつね)暗殺事件は、源頼朝の弟・源範頼(みなもとのりより)の運命にまで波紋が広がる大事件だった。
神楽の原型は、「天宇受売(あめのうずめ)の命の胸も女陰も露わなストリップダンス」、と言われている。
「日本古来の伝統」と言えば、この白拍子の裸舞(ストリップダンス)も、正しく天宇受売(あめのうずめ)から脈々と流れる「神迎えの呪詛」であり、日本の「独自文化」である。それを現在の物差しで計ってしまうと、現実を覆い隠す綺麗事になる。
この「白拍子」、後白河院(上皇/法王)の音頭取りで、宮廷、貴族の屋敷に盛んに呼ばれる様になり、それと知らず思惑通り、貴族や高級武士社会に諜報活動の使命を帯びて浸透して行ったのだ。
同時に勘解由小路吉次は、平家に対抗すべき武力勢力の育成を計画、源氏義朝の遺児達に影人を送っていた訳である。
思い付くまま忍者物語・第三章(五)(平安末期から鎌倉・室町期へ)へ続く

作者の公式HP(こうしきホームページ)へは、「 未来狂冗談の部屋 」で検索して下さい。

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