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謎の小説家・未来狂冗談(ミラクルジョウダン)が、思い付くままに物語を綴(つづ)ります。
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思い付くまま忍者物語・第二章(四)(陰陽寮/呪術と剣術・忍術の分離)

五世紀も終わりに近づくと、物部氏と蘇我氏が、伝来した仏教の扱いで対立する。
当時の物部氏は古くからの歴史ある名門で、青銅鋳造術を神格化する銅鐸祭祀(物部神道)を擁する物部一族は当然ながら神道擁護排仏派だった。
反対に蘇我氏は言わば少し遅れて来た新興勢力で、宗教的基盤のない蘇我氏は仏教を大和朝廷に導入、統治に利用する事を考える。
つまり当初の蘇我氏による仏教支持はその教義に傾倒した訳ではなく、有り勝ちな事だがあくまでも勢力争いの具である。
その争いの時点で、大連(おおむらじ)・物部尾興(もののべおこし・臣王)と大臣(おおおみ)・蘇我稲目(そがのいなめ・臣王)の力は拮抗していたが、欽明大王(きんめいおおきみ・天皇・第二十九代)が仏教に傾倒し、蘇我氏の勢力が強く成って行く。
この大連(おおむらじ)・物部尾興(もののべおこし・臣王)と大臣(おおおみ)・蘇我稲目(そがのいなめ・臣王)の勢力争いは陰陽修験組織も翻弄を余儀なくされるのだが、実は中立を守っている。
当然ながら、陰陽修験の理念は物部尾興(もののべおこし・臣王)側に近かった。
しかし一方で陰陽修験道の真髄が、あらゆる信仰を取り込んで大王(おおきみ・天皇)の統治に利用する為の組織だった。
この陰陽修験道の真髄、「あらゆる信仰を取り込む」が、いずれこの物語で記述する、実は現代に到るまでの「信仰受け入れに寛大な」日本人の「良い加減」な信仰精神の基本と成り得たのである。
この時代まだ、日本列島・大和朝廷の大王(おおきみ・大国主/おおくにぬし)は地方を領する有力豪族(御門・臣王・国主/くにぬし)達の勢力争いに翻弄され、利用される武力を持たない精神的な統一の象徴だった。
背景の争いがそんなだから、大王(おおきみ/天皇)後継者を巡る争いが繰り広げられる。
物部氏と蘇我氏の争いは、敏達(びたつ)大王(おおきみ・天皇第三十代)の御世に成っても、息子達の大連(おおむらじ)・物部守屋(もりや)と大臣(おおおみ)・曽我馬子(うまこ)に引き継がれ、更に、敏達大王(おおきみ・天皇・第三十代)が崩御すると、次期天皇の「擁立合戦」に発展した。
物部守屋に加勢した中臣勝海(なかとみのかつみ)が蘇我馬子に暗殺され、馬子の推する「用明(ようめい)大王(おおきみ・天皇第三十一代)」が即位する。用明天皇が崩御すると、物部守屋は、再び用明天皇のライバルだった穴穂部(あなほべ)皇子を立てようとしたが、蘇我馬子と合戦になり、大連(おおむらじ)・物部守屋は討ち取られてしまう。この敗戦で、加羅系・物部氏(新羅派)は衰退して行く。
思い付くまま忍者物語・第二章(陰陽寮/呪術と剣術・忍術の分離)(五)へ続く

作者の公式HP(こうしきホームページ)へは、「 未来狂冗談の部屋 」で検索して下さい。

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